うんちやおならが出なくなったら一大事!
最近では、アイドルグープ関ジャニ∞の大倉くんや落語の桂歌丸師匠が患ったことで耳にする機会も多い腸閉塞という病気。
簡単に言うと、うんちやおならを出したくても出せない、とても苦しい病気です。
腸閉塞というくらいだから、腸が詰まっちゃう病気ってことぐらいは想像できますが、便秘とどう違うのでしょうか。
腸閉塞は医学的にはイレウスと呼ばれ、想像通り(?)食べ物や消化液の流れが小腸や大腸で滞ってしまう病気です。
腸内で内容物(うんちのもと)が詰まってしまうので、お腹が張って痛くなり、肛門の方向へ進めなくなったものが口の方へ逆流して吐き気を催し、嘔吐したりもします。
大腸の中に、胃や小腸から流入する内容物(うんちのもと)は、毎日約1.5リットル、さらに主に大腸内の腸内細菌によって発生するガスは毎日7~10リットルもあります。
それだけの内容物が、肛門から排出できなければ、うんちやガスは溜まる一方で、腸管がどんどん拡張してしまうことは、容易に想像できるでしょう。
そうなると、腸の粘膜は炎症を起こし、血中から水分やタンパク質が腸管の中にどんどん染み出してきて、体は脱水状態に陥ります。
さらに閉塞が続くと、お腹が太鼓のように膨らんで激しい痛みに襲われ、最悪の場合は拡張した腸管の壁に穴があいてしまうこともあります。
ここでは詳細は省きますが、実はイレウスの種類は複数あり、よく耳にする急性の腸閉塞は、物理的に腸管が塞がられるのではなく、神経の異常や炎症などの影響で腸の蠕動(ぜんどう)運動がなくなり、内容物が腸内に停滞する状態が多いようです。
いわば「糞づまり」状態といえるかもしれません。
蠕動運動:消化管などの臓器の収縮運動のことで、内容物を移動させる役割をしている。主に食道から直腸までの運動をいう。蠕動運動は自律神経の働きによって行われているため、意識的に調整することはできないが、食物や水分をとる、運動をするなどの刺激を与えることによって活発になる。加齢などにより胃の蠕動運動が低下すると、消化に時間がかかるため胃もたれや胸やけを起こしやすくなる。また、大腸の蠕動運動が低下すると便秘になりやすくなる。 gooヘルスケアより引用
もう一つ、イレウスの原因で多いのは、お腹の手術を受けたあとに腸が癒着して通り道を塞いでしまうものです。
こちらは、物理的に腸管が詰まってしまう状態ですね。
いずれの場合も入院治療を要しますが、早めに入院して絶食し、胃や腸にロから管をいれて詰まったものを外へ出して腸の血液の循環をよくしてやると、大抵は手術せずに治るようです。
また、知らないうちに腸にできた腫瘍が大きくなって腸をふさいでしまうものもあり、
こちらは、手術が必要ですが、腫瘍さえ切除すれば重病化の心配は少ないようです。
一方で、イレウスのなかでやっかいなのは、腸がねじれて血のめぐりが悪くなってしまう絞扼性(こうやくせい)イレウスです。
絞扼とは「しめつけられる」という意味で、絞扼性イレウスは腸捻転とも呼ばれる病気です。
数年前に、俳優のオダギリジョーさん、香椎由宇さん夫妻の次男が亡くなられた原因になった病気と言えば、思い出す人もいるかもしれませんね。
この原因には、腸の血行障害や腸のへルニア、小さな子供の腸重積(風邪などのウイルスがリンパ節に侵入し肥大化させて小腸が大腸に入り込んでしまい閉塞が起こります)などがあります。
複雑な症状ですが、通常、早期発見されて手術を受ければ治癒しますが、ひどくなると腸内細菌から出たエンドトキシンという毒素が、体中を回って敗血症になり、腸管には穴があいて腹膜炎になり、手遅れになると命を脅かすこともあります。
なんだかドンドン怖い話になってしまいましたが、現実には腸閉塞(イレウス)はそうそう発症するものではありません。
もし、数日間うんちが出ない、あるいはお腹にガスが溜まって張りが生じても、たいていは便通習慣が狂って便秘症状が出ているだけだと思います。
ただ、あまりひどく痛んだり苦しいときには、イレウスを疑って早めに近所のかかりつけのお医者さんに相談するとよいでしょう。