うんちは何を語る?

第二の脳といわれる腸と人の体のかかわりについて、興味本位に書きつづります。

アレルギーと腸内環境の関係

 

鼻をかむ女の子とマスクをする男の子

近年、日本人は世界でも類を見ないほどのアレルギー体質になっています。

その原因として、食生活を中心とした生活習慣の急激な変化が日本人の腸内環境を悪化させ、さまざまな弊害を招いていると考えられています。

 

アレルギー症状の代表格に花粉症やアトピー、ぜん息などがあります。

花粉症に悩まされる人の数は、日本人の3割は優に超え、4割に達するという説もありますし、アトピー性皮膚炎や気管支ぜん息にかかっている子供は、この10数年で2倍以上に増えているそうです。

 

子供のアレルギー性疾患は、育てられた環境と深く関係していると考えられています。

つまり、放任主義(いい意味で)で育った子供は比較的アレルギー疾患が少ない傾向があり、逆に、清潔面などで過度に神径質な環境の中で育った子供にはアレルギーが多いということです。

外で泥だらけになって遊ぶより室内で遊ぶ方が、一見衛生的にみえるかもしれませんが、むしろ子供の免疫を高める菌を排除してしまうマイナス面の方がはるかに大きいということなんです。

 

清潔の度が過ぎるとアレルギーを起こしやすくなる理由は、アレルギーのもとになるアレルゲンと免疫細胞の関係に答えがあります。

そして、免疫細胞には腸内環境が深く関係していることも見逃せません。

 

たとえば、花粉症の場合、代表的なアレルゲンはスギやブタ草、イネ科、キク科の植物などその種類は多岐にわたっています。

アトピー性皮膚炎やぜん息も同様で、以前はダニ、ホコリがアレルゲンの代表格でしたが、現在ではさまざまな物質がアレルゲンになっています。

 

人の体内にアレルゲンが浸入するとIgEという抗体が分泌されます。

この抗体はアレルゲンと結合し、肥満細胞を破ってヒスタミンという物質を作ります。

このヒスタミンこそが、鼻水やくしゃみ、かゆみなどのアレルギー症状を起こす元凶なのです。

当然のことですが、このようなアレルゲンは、アレルギー性疾患のない人にとっては、まるで脅威とはなりません。

体に入ってきてもそれは速やかに排除され、体の異常を感じることもないのです。

そこでは、免疫機能がきちんとした形で働いているのですが、この免疫機能に狂いが生じてしまうと、一気にアレルギー症状が起こってしまいます。

 

本来、体の免疫機能が戦う相手は、寄生虫やウイルス、細菌(病原菌)などです。

これらが人の体内へ入ろうとするときに免疫機能が働き、その侵入をシャットアウトして病気から体を守ります。

 

ところが、生活が豊かになるにつれて清潔でクリーンな生活を求める志向が高まり、日本ではこの数十年間で公衆衛生の環境は著しく向上し、身の回りから細菌類やウイルス、微生物などがめっきり数を減らしました。

そのこと自体は大変喜ばしいことなんですが、人々の清潔志向は過度を極め、家庭内でもアルコール除菌はあたりまえ、浄水器、空気清浄機はあたりまえという生活が根付いた結果、かつては当然のごとく人の体に棲息していた寄生虫や細菌をも駆逐してしまったんです。

 

駆逐されたばい菌たち

そうなって困惑したのは免疫細胞です。

本来、攻撃すべき相手がいなくなってしまったわけですから、仕事がありません。

体に備わる免疫細胞に対して、「仕事がなければゆっくりしていて」と指示が出せればよいのですが、現実には、あるべき姿を失った免疫細胞の働きに微妙な狂いが生じ始めました。

そして、それまでは無反応だった花粉やホコリを相手に闘うようになり、その結果としてアレルギー反応が起きてしまったんです。

 

アレルギーというと、スグに空気清浄機やマスク、あるいは花粉を飛ばさない杉の木の研究などの対策が叫ばれますが、もしかしたら、本当に「ブーイング」すべきは、花粉やホコリなどのアレルゲン以前に、度を超した清潔志向や防菌思考なのかもしれませんね。

 

「外出先から帰ってきたら、石鹸でよく手を洗いきしょう。手先だけではなくて、肘のあたりまで洗いきしょう」という注意喚起をよく見聞きしますよね。

これなども、考え方によっては、かえって危険な行為です。

 

薬用石鹸で1日に何度も手洗いをすると、汚れを落とすと同時に、皮膚常在菌という菌を殺してしまいます。

皮膚常在菌には、表皮ブドウ球菌黄色ブドウ球菌をはじめとする10種類以上の細菌があり、これらはいわゆる「ばい菌」です。

ばい菌なので、ときには傷口に膿を持たせたり病気を発症させることがあるのは事実です。

しかし、その一方で、たとえば皮膚常在菌は皮脂を食べて脂肪酸の膜を作り、皮膚を弱酸性に保ち、酸に弱い病原菌を撃退してくれるという有益な面もあります。

ところが、手を洗い過ぎると、この皮膚常在菌が作った皮膚膜がはがれ、その下の角質層との問に隙間ができて、皮膚を組織している細胞がバラバラになってしまいます。

そうすると、ここからウイルスが侵入する危険性が高まってしまうのです。

 

水道水で手洗いする風景

ちろん、インフルエンザをはじめとする感染症の予防に手洗いをすることは大切なことですが、手についたウイルスなどは水道水で流しながら10秒間も洗えば、ほとんど徐去できます。

普通の生活で食事の前に手洗いするときも、わざわざ薬用石鹸を使う必要はありません。 ※肉類、魚類を調理したあとは必要です。

通常は、石鹸での手洗いは外出帰りなどに1日2、3回程度で十分だと思います。

 

また、うがいについても同様で、喉に異常や違和感がないのに、市販のうがい薬を使ってうがいをする必要はありません。

うがい薬には強い殺菌作用がありますから、習慣的に使用することで喉の粘膜を傷つける恐れがあり、そうなるとかえって感染症にかかりやすくなり、これでは本末転倒です。

 そもそも人の口の中の常在菌には悪さをする菌はほとんどありませんし、もし、それが食事といっしょに体内に入ったとしても、唾液や胃酸などであえなく死んでしまいます。

 

「清潔」の考え方は人それぞれだと思いますが、衛生環境が整った今の日本では、過剰な清潔志向は危険を伴い、心身の健康面でマイナスになる得ることは知っておくべきでしょう。

 

 

www.healthypoop.com

 

 

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