お腹を冷やすと下痢をする?!
東洋医学では病気の予防や治療の第一歩として、「体を冷やさない、体を温める」ことが重要だと考えられています。
実際、環境温度と免疫力の関係について調査したある研究では、一定の温度から急に暑い場所に移動すると免疫力が低下し、寒い場所に移動するともっと低下することがわかったそうです。
気温30℃と気温7℃という2つの条件下での免疫力の違いについての調査では、どちらも20℃の場合に比べて免疫力は低下しましたが、7℃という低温環境の方がはるかに免疫力は下がっていたそうです。
こういった研究結果から、体を冷やすことが代謝力や免疫力の低下につながることが証明されたわけです。
代謝とは、生命維持活動に必須なエネルギーの獲得や,成長に必要な有機材料を合成するために生体内で起るすべての生化学反応の総称。
コトバンクより引用
つまり、代謝は生命活動の基本であり、代謝が高い状態では病気になりにくく、逆に代謝量が低い人は病気がちだと考えられます。
そして、代謝は体温に影響されることが多く、体温の低い人は代謝が下がり、免疫細胞の活性も低下し、免疫力が低下すれば必然的に病気になりやすくなります。
また、低体温は血液の循環も悪化させます。
言うまでもなく、血液の重要な働きの一つに、体中に酸素や栄養分を運ぶことがありますが、冷えによってその機能も低下してしまうのです。
ここで、もう少し的を狭めて、「うんちブログ」的に、お腹の冷えについてお伝えします。
冷たいものを食べ過ぎてお腹をこわした・・・
寝冷えして下痢をした・・・
などは、多くの人が1度や2度は経験したことがあるのではないでしょうか。
と言うか「お腹を冷やすと下痢をする」ということは、常識といっても過言ではないでしょう。
誰もが経験する、冷えからくる下痢。
なんとなく受け入れてしまっているお腹の不調ですが、なぜそんなことが起きるのか、理由を調べてみました。
人の体は、さまざまな方法で自身の生命を守ろうとします。
つまり「下痢をする」ことは「お腹が冷える」という状況から生命を守るための防御反応であると考えられます。
そもそも、下痢という症状は、大腸を経由した水分の体外排出です。
下痢によって排出される水分は、飲食した水分が直接排泄されるのではなく、血液からもたらされます。
血液から水分を排出した結果、人体は末梢(手先や足先)への体熱の移動を抑制して、体幹部の熱を逃がしにくくなり、かつ熱容量を下げて体温を素早く上げられるようになります。
噛み砕いて言うと、お腹が急激な冷えに接して生命の危険(←ちょっと大げさですが)を感じた際、手や足への血の巡りを鈍らせて熱を逃がしにくくして、お腹周りの最も大事な部分だけを確実に温めようとしているということです。
冷えるとおしっこが近くなるのも、水分の体外排出という意味で、同じ理由が考えられます。
人の体では、平常時の水分排出は、主に汗と尿を通じて行われます。
これらの経路は排出に特化しており、とても効率的に出来ています。
一方、大腸は本来、腸内要物の水分の吸収を生業としているため、排出を行う器官としては非効率的なわけですが、「お腹が冷える」と言う非常事態においては、非効率的な水分排出を行う大腸はエネルギーを大量に使う発熱機関として、お腹を温めるのに利用されることになるんですね。
下痢をすると、平常時に心身の健康に寄与している腸内フローラまでも洗い流すことになってしまいますが、生命維持の観点からすればそれも安いものです。
「冷えは万病のもと」というフレーズを耳にしたことがあるかもしれませんが、体の冷えは疲労の元になったり体のむくみなどを招き、慢性的な体調不良を招きかねません。
腸内環境を良好に保つことはもちろん、日々、健康生活を送るためには、体を冷やさないことが大切です。
最後にもう1つ、下痢をすると肛門周辺が痛くなりますよね?
これ、トイレットペーパーの使い過ぎでおしりの粘膜が荒れるからと考えていませんか?・・・もちろん、それも理由の1つなんですが、より直接的には、下痢のうんち(水様便)がアルカリ性だからです。
下痢に含まれる腸液がアルカリ性で、人の体をつくるタンパク質を溶かしてしまうため、ヒリヒリと痛むんです。
なので、下痢のときのヒリヒリを防ぐには、いつもより入念に洗浄することが必要です。
ちなみに、平常時は腸内の善玉菌群が糖の分解を促進して酸を産生し、アルカリを中和してくれているんです。
善玉菌“様々”ですね。。。