うんちは何を語る?

第二の脳といわれる腸と人の体のかかわりについて、興味本位に書きつづります。

うんちをたくさんすると心身ともに健康になるという話

マスクをして目薬をさす男の子

近年、日本人のアレルギー体質率は、世界でも類を見ないほどの高さだと言われています。

実際に花粉症やアトピーなどが社会問題化しているわけですから、このことを否定する人は少ないでしょう。

 とあるデータによると、1970年代生まれの日本人は、88%が何らかのアレルギー体質であるという結果がありますが、その一方で、60年代以前の日本人はむしろアレルギーになりにくい特性を持っていたそうです。

 

一例として、1960年代の米国では、ブタ草による花粉症が大流行しましたが、同時代日本には、まったくといっていいほど発症者がいませんでした。

そして、当時の論文には「日本人はアレルギーにならない体質である」と書かれていたそうです。

ところが、時代の経過とともに日本人の体質は大きく変化して、現在ではスギ花粉症は国民病とまでいわれるほど患者が増え続け、さらにはうつ病などの精神疾患の増加に伴って自殺者が毎年3万人を超えています。

 

こういったことは、生活習慣、とくに食生活の急激な変化が、日本人の腸内環境を悪化させ、さまざまな弊害を招いていると考えられているのです。

 

かつての日本人の食事は野菜類豆類海藻類などの食物繊維を大量に摂取しており、その時代の日本人は「腸が丈夫=腸内環境が整っている」状態でした。

第2次世界大戦中の記録に、日本人が占領していた南方の島に米軍が上陸作戦を仕掛けるために慎重に島の偵察を行ったところ、島のあちこちに点在しているうんちの多さから、まだかなりの人数の日本兵が生存していると判断し、当面の上陸を断念したという話があるのですが、実際にはその時点で島にいた日本兵はすでに少人数だったそうです。

つまり、当時の日本兵はそのくらい大量のうんちを排泄していたということです。

戦時中の話なので笑い話にするのは不謹慎かもしれませんが、「どれだけクソしてんねん!」とツッコミたくなってしまいますね。

 

腸内環境が整っている快腸のイメージイラスト

腸内細菌が多いと、うんちの量もおのずと増えます。

うんちの半分以上は、腸内細菌とその死骸だからです。

事実、かつての日本人のうんちの量は1日350~400gあったそうです...が現在では150~200gと1/2程度まで減っています。

うんちの量が少ないと病気になりやすくなります。

それは、

食物繊維の摂取量が少ない→腸内細菌が減少する→便の量が減少する→腸を含むいろいろな内臓などに悪影響を及ぼす

という悪い流れが定着し、その結果病気にかかりやすくなってしまうんです。

 

日本人のうんちの減少は、そのまま日本人の腸に悪影響を与えています。

アレルギー性疾患と並んで大腸がんなど腸の病気が急増しているのも、現代の日本人の悪しき特徴です。

1995年に起きたインドネシア・バリ島のコレラ騒ぎでは、日本人の免疫力の弱さが端的にあらわれました。

今も変わりませんが、当時のバリ島は日本人に人気の観光スポットでした。

そのバリ島から帰国した日本人がコレラを発症したのです。

その数実に200人以上!

帰国した200人がほぼ同時に発症したわけですから、誰もがバリ島では当然、他にも多くの患者が発生した考えますよね?

ところが、コレラを発症したのは日本人だけだったんです。

現地の人はもちろん、バリ島を訪れていた多くの他国からの観光客誰一人としてコレラにかかった人はいなかったそうです。

 

このとき発症したコレラ菌は「エルトール小川型」という、通常なら飲んでも発症しないような非常に弱い菌でした。

日本人だけがこのコレラ菌で発症したということは、いかに日本人の免疫力が低かったかという証明です。

がんや心筋梗塞脳卒中や糖尿病などの生活習慣病を予防・治療には、免疫力が重要な役割を担いますが、免疫力が最も試されるのは、やはりコレラO-157などによる感染症が流行するときです。

同じ環境下で同じ物を飲食しても、発症する人としない人がいるということは、免疫力の強い人は発症しないあるいは軽症ですむのに対し、免疫力が低下している人は、ときには命を落とすこともなりかねません。

 

免疫細胞がばい菌をやっつけているイラスト

免疫とは、ウイルスなどの外敵が体内に入ってこようとしたとき、それらの異物を排除して体を守るシステムです。

人の免疫機能はかなり優れていて、幾重にもの防御システムによって守られています。

有害な微生物やばい菌などの外敵が体内へ浸入しないように防いでいる第一の砦は、皮膚やロ、鼻などの粘膜です。

皮膚には目に見えない常在菌が表面を覆っており、最初の防御システムが働いています。

もし、皮膚が傷つき体内にばい菌などが入ってきたら、第2の砦として、血管から次々と白血球登場してばい菌やっつけて進入を防ぎます。

このとき、白血球が討ち死にして出るのが膿(ウミ)です。

こういった防御システムを「自然免疫系」といいます。

さらに、この白血球の攻撃をかわして中に入ってこようとするばい菌も数多くいます。そういった異物は、リンパ管にまで達しようとします。

すると今度は、リンパ球がばい菌に闘いを挑みます。

これを「獲得免疫反応」といいます。

「獲得免疫反応」には2つのタイプがあります。

1つはリンパ球の一種で、主にばい菌に対応するB細胞が抗体を作って闘うシステムです。

これを「液性免疫」といいます。

2つ目は、キラーT細胞やNK細胞(ナチュラルキラー細胞)などが直接、外敵を攻撃する「細胞性免疫」です。

ここでは抗体がつくられる仕組みは省きますが、抗体は抗原という名の侵入者に対して、より大きなダメージを与えられるような形に作られます。

コレラなら、コレラのウイルスにピッタリと結合する抗体です。

可能な限り抗原の侵入を防ぐために、オーダーメイドの抗体が作られて、それがコレラ菌の侵入を防ぐんです。

 そして、1度抗体が作られると、その抗体が持つ記憶はずっと保持されて、もし再び同じ抗原が侵入を企ようとしても、すぐに同じ抗体が反応し撃退するといいますから、人の防疫システムの記憶力の優秀さには驚かされますね。

 

このような免疫システムが円滑に働いている人は病気になりにくく、また病気になっても早く回復しやすいのです。

 

さまざまな外敵から身を守るために、人の体内ではさまざまな細胞が日夜、働き続けているわけですが、中でもNK細胞はひと際目立っています。

 

最近では、テレビの健康番組などでもたびたび特集が組まれているので、NK細胞の知名度は高いと思いますが、NK細胞は、人の体内に毎日無数に発生するがん細胞を攻撃し防衛力を発揮しています。

他のどの免疫細胞よりも素早く反応し、攻撃を仕掛けるのが特徴で、欠かせない存在です。

一般的には、NK細胞は体内におよそ50億個以上あるといわれています。

この頼もしい味方が50億個以上もあるだけで非常に心強いですが、数には個人差があり、中には1000億個に達する人もいます。

風邪をひきやすい人と、ひきにくい人がいますが、差が出る理由には体力差や体質などのほか、NK細胞を筆頭とする細胞性免疫力がその差をもたらしているという説が有力です。

 NK細胞が最も活性するのは朝の9時前後と、夕方の5時頃といわれ、夜の9時には低くなります。

このリズムを崩すような不規則な生活をしているとNK細胞の活性は低下して免疫力が低下すると考えられています。

 

免疫細胞のエース的な存在のNK細胞ですが、実は加齢によって数が減ったり、機能が低下したりする傾向が強く、また、食物やストレスなどにの影響を受けやすいという弱点もあります。

逆に言うと、NK細胞の数を維持する、あるいは、その機能を高めるためには、食事、運動、ストレス解消などが重要になってきます。

これって、腸内環境を整える条件と一緒・・・つまり、NK細胞を含む免疫細胞は腸内細菌を増やすことによってより活性化します。

 

実際、NK細胞を含む免疫細胞の70パーセントが腸内細菌によって作られており、残りの30パーセントは、内分泌系や神経系の刺激、笑いや運動、イメージトレーニングによって作られるそうです。

腸内細菌が免疫細胞を刺激して活性化する物質を出すので、腸内細菌の数・種類が多いほど免疫力が高まります。

腸内細菌はセロトニンドーパミンという「幸せ物質」を作り出して、人の「心」の部分をケアすると同時に、感染症やがんなどの生活習慣病から人の「体」を守る役割、つまり命に直結した役割をも果たしているんですね。

 

 

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