ボケは腸から始まる?!
「頭を使わないとボケる」・・・よく言われていますよね。
これはつまり、脳を使わないと退化してしまい回転しなくなるという意味です。
実はこの言い方、当たっているといえば当たっているのですが、間違っているともいえるんです。
ちょっとややこしい言い方になりましたが、実は近年、腸の働きが鈍ると、脳を老化させてしまうということがわかってきました。
たとえば、お年寄りが入院して点滴治療が長引いたとき、周りのご家族が「めっきりボケてしまった」と嘆くことは珍しくありません。
家族みんなが一生懸命話しかけても本人は上の空で、周囲には「すっかり人格が変わってしまった」ように映ります。
そして、その原因は「長い入院生活で気持ちが暗くなり、ボケにつながったのでは・・・」と考えられがちですが、実はこのときのボケの直接の原因は脳ではないとのこと。
どういう事かというと、長期間点滴による静脈栄養のみに頼っている内に、腸の神経細胞の活動が低下し、その結果として脳への刺激が弱まりボケにつながってしまうのだそうです。
つまり、腸の活動が阻害されたり、大きなストレスを受けると、脳に重大な損傷を及ぼす可能性があるということです。
脳が危害を受ければ当然、ボケたりうつになったりと、さまざまな症状に見舞われる可能性が高まってしまいます。
脳を健全に保つためには、前向きな志向が大切です。
具体的なボケやうつ対策としては、脳内にセロトニンやドーパミンといった幸せ物質を増やすことが必要です。
そして、そういった幸せ物質は、腸でつくられて脳に送られます。
ということは、腸内環境を整えれば、脳に多くの幸せ物質が送られ、前向きな考え方・生き方ができるようになり、延いてはそれがボケやうつの防止につながると考えられます。
本来ならば、人の腸内には、常時セロトニンやドーパミンが存在しています。
しかし、ストレスなどで腸内フローラに大きな変化が起こると、幸せ物質の生産力が落ち込んで、脳へ送られなくなってしまうのです。
なので、ボケやうつを防ぐためには、腸内環境を整えることが最重要です。
ストレス社会を生きる現代人にとって、上手にしかも短期間のうちにストレスを解消することが、健康生活を営む上で絶対に必要だということ、それともう一つ、健全な食生活を送ることが大切です。
ストレスの解消には人それぞれの手段があると思いますが、我々日本人はそれほど悩む必要はありません。
答えは簡単です。
日本の伝統食への回帰
これを実行することで腸内フローラは見事に活性化するのです。
前述した通り、腸内フローラの状況を悪化させている大きな原因はストレスにありますが、日本食はストレスに対する抵抗力を高めることが確認されています。
脂肪細胞から血液中に分泌されるアディポネクチンというホルモンがあり、糖尿病や動脈硬化症などを予防する効果があるといわれており、近年注目されています。
ところが、ストレスが高まると、体内では代謝機能が低下し、これが肥満の一因になります。
肥満になると、脂肪の燃焼を促進するアディポネクチンが出にくくなり、細胞は老化してしまい、これがさまざまな生活習慣病の引き金になるのです。
また、代謝の異常は細胞のみならず、体のあらゆる器官に影響を及ぼすため、当然、腸内環境の異常にもつながります。
つまり、悪玉菌が増え、善玉菌の量が低下するのです。
現代の日本食、欧米食、それと野菜や大豆を中心とした昔ながらの日本食が、それぞれストレスや代謝などの遺伝子にどのような影響を与えているかを調べたある研究結果では、現代の日本食は欧米食に比べて、遺伝子の修復や解毒酵素などのストレスに対応する遺伝子の発現量が少なく、脂質などの代謝にかかわる遺伝子発現量は多くなっていたそうです。
さらに、1960年代に食されていた昔ながらの日本食は、現在の日本食よりもはるかにストレスを軽減させる効果が認められ、代謝に関係する遺伝子の発現量も多かったのです。
日本食には、脂質が少ないにも関わらず新陳代謝を上げ、コレステロールを抑制するという特徴があります。
それゆえに、肥満防止にもつながり、心身にストレスの悪影響を及ぼしにくいのです。
そして、日本食の特徴でもう一つ忘れてならないのは、植物性乳菌などの発酵菌です。しょう油、味噌、漬物などの発酵食品に含まれる発酵菌は、乳酸菌と同じように腸の中で酸を作ります。
その結果、ストレスなどで乱された腸内フローラを整え、善玉菌数を増やします。
当然、セロトニンやドーパミンという幸せ物質も増えるわけです。
最近では、さまざまなメディアで、スーパーフードと呼ばれるさまざまな食材が紹介され、そのたびに各地で売り切れが続出するなどのブームが起こりますが、そういったものにいちいち飛び付かなくても、普通に日本食を食べていれば、心身ともに健康生活を送れるってことなんですね。