うんちは何を語る?

第二の脳といわれる腸と人の体のかかわりについて、興味本位に書きつづります。

うんちを食べる???

芝生にたたずむウサギ

「うんちを食べる」なんていうと、変な趣味(?)の話と間違われそうですが、実はこれウサギをはじめとする動物の話です。

現在、日本には4種類のウサギが確認されています。

野生種として全国広く分布するノウサギをはじめ、南西諸島のアマミノクロウサギ、北海道のナキウサギの3種に加えて、最もなじみがある、ぺットで飼われることも多いカイウサギです。

 ウサギはその種類に関わらず食糞行動が確認されています。

ウサギのうんちには2種類あり、よくウサギの飼育小屋などで見かけるコロコロした丸いうんちを硬糞といいます。

もう1つ、夜間に排便されることが多くほとんど目につくことはありませんが、ウサギは軟らかなクリーム状のうんちをします。

これを軟糞といいます。

ウサギは2種類のうんちを交互に排出しますが、軟糞を出すときには自分のロを肛門に付けてうんちを吸い込み、噛まずに飲み込みます。

 

ウサギがなぜうんちを食べるのかというと、もちろん変な趣味があるわけではなく、ウサギの食生活に関係があります。

言うまでもなくウサギは草食動物です。

なので主食は草です。

ところが、草は消化が難しく栄養価も低いため、十分な栄養摂取のために独自の仕組みをもっています。

それは、「消化に細菌の力を借りる」という方法です。

ウサギは草を食べると、まずは自力で消化・吸収しようとしますが、しきれなかった分を盲腸へと送り込みます。

人の盲腸は痕跡程度の大きさしかなく、消化機能は持たないことはよく知られていますが、ウサギの盲腸は胃よりも大きく、腸内細菌による巨大な発酵タンクとなって植物繊維を分解・発酵させ、よりスムーズに栄養吸収できるようにするのです。

ただ、ウサギの盲腸で作られた栄養は、体内で吸収される前にほとんどがうんち(軟糞)として排便されてしまうため、自分の肛門から直に食するわけです。

 

自分のうんちを食べて、腸内細菌が作り出したアミノ酸ビタミンB群ビタミンKなどの栄養素を摂取しているため、食糞ができないと栄養障害を起こしてしまうそうです。

軟糞を食べさせないようにすると、しだいに貧血症状を呈し、やがて死んでしまうといいますから、ウサギにとってうんちは単なる排出物ではなく、大切な発酵食品なんですね。

 

ウサギ以外では、コアラにも母親が自分の糞をわが子に食べさせる習性があるそうです。

これには離乳食としての役割があり、コアラの子供は母親の糞を食べることで主食であるユーカリの味を覚えるとともに、ユーカリの消化に必要な微生物(腸内細菌)を摂取します。

それから、イヌは自分自身あるいは他の個体の糞を食べることがあります。

これには、空腹、遊び、ストレス、あるいは子犬の排泄の補助や排泄物の処理など、いろいろな目的があると言われています。

ただし、家イヌ(ペット)の食糞行動は、イヌだけでなく人にとっても、いろいろな病気の原因となるため、しっかりと躾をして正しく矯正しなければなりません。

 

ブタの親子

さらに、以前は家畜として飼育するブタの餌として人糞を食べさせることが一般的だったそうです。

これは、人糞が栄養価が高いこと、さらには人のうんちの後始末の意味もあったようです。

以前、済州島(韓国)に旅行したとき現地の人から、子供の頃の済州島の民家のトイレは屋外にあり、高床式になっていてうんちをする穴の下にはブタが飼育されたいるのが一般的だった、という話をしていましたから、そんなに昔のことではないのかもしれません。

 

動物によって目的は異なりますが、どの動物もうんちという排泄物というゴミをお宝に変えているということは、とても興味深い話です。

 

最後にわたしたち人間についても少々。

と言っても、通常人は食糞行動はしません。

ただ、ウンチから取り出したあるものを飲みます。

それはコピ・ルアクという高価な飲み物。

「コピ」はインドネシア語でコーヒーを指し、「ルアク」はマレージャコウネコの呼称です。

つまり、コピ・ルアクとは、ジャコウネコのウンチから採られる未消化のコーヒー豆のこと。

主に、ジャワ島・スマトラ島・バリ島で生産されており、年間生産量は推計で20~30tという希少品のため、世界で最も高価なコーヒーといわれています。

 

ドリップコーヒー

野生のマレージャコウネコは、コーヒー農園で栽培されているロブスタ種のコーヒーの熟した果実を餌としていて、果肉は栄養源となりますが、種子(コーヒー豆)は消化されずに、うんちに含まれて排泄されます。

現地では、そのうんちを探して、中からコーヒー豆を取り出し、洗浄・乾燥させ、高温で焙煎したものがコピ・ルアクです。

このコーヒー豆が出来上がる原理は、ジャコウネコ腸内の消化酵素の働きや腸内細菌による発酵により、コーヒー豆に独特の香味が加わるそうです。

 

高価な「ウンチコーヒー」ですが、実際に口にした人の評価を聞くと、美味しい・美味しくないと意見が2分しています。

独特の香りをもつだけに、好みがハッキリと分かれやすいのかもしれません。

コーヒー1杯数千円といわれるコピ・ルアク、残念ながらわたしは飲んだことがありませんので感想をお伝えできません(汗)

あしからず。。。