よいうんちで痩せる、悪いうんちで太る?!
かつては「女性の永遠のテーマ」と言われたダイエット。
今では、男女性別に関わらず、美容あるいは健康のために、誰もが飛びつく話題といっても過言ではないでしょう。
結構ハードな運動しているのにあまり痩せない・・・
食事制限をして頑張っているのに思うように痩せない・・・
という人がいる一方で、大食いにも関わらず痩せている、いわゆる「痩せの大食い」という人もいます。
この差は何なのか?
体質の違い・・・
痩せている人は隠れて努力している・・・
等々、さまざまな原因が想像できますが、最近では腸内環境が一役かっていることが明らかにされています。
デブ菌とヤセ菌
人の腸には膨大な数の細菌が棲んでいることはよく知られているところで、このブログでも散々話題にしてきました。
実は、その中にデブ菌、ヤセ菌と呼ばれる菌があります。
デブ菌とヤセ菌の発端は、約10年前に科学誌「ネイチャー」に掲載されたある論文です。
米ワシントン大学の微生物専門家たちの研究で判明したのは、肥満の人の腸内細菌はファーミキューテス類が多く、それらは食べ物を消化吸収する能力がとても高いということ。
ここでは難しい内容は省きますが、つまり肥満の人の腸内環境は、太りやすい菌が優勢だということがわかったんです。
さらに、数百兆個(約600兆個)も棲息するといわれる人の腸内細菌は、大きく分けるとバクテロイデーテス類とファーミキューテス類に分類され、その2つのグループだけで腸内細菌の約90%を占めることや、肥満の人がダイエットで減量すると、バクテロイデーテス類とファーミキューテス類の量が変化するということも判明しました。
このような結果を踏まえて、日本における腸内細菌のスペシャリストとして知られる、理化学研究所の辨野義巳先生が、
ファーミキューテス群:デブ菌
バクテロイデーテス群:ヤセ菌
と呼んだのが、デブ・ヤセ菌のはじまりなんですね。
当然ですが、「菌」といってもデブ菌が人から人へ感染することはありませんので、太っている人が近くにいても何の心配もありません(笑)。
※ただし、親から子へは菌が取り込まれることがあるそうです。
余談ですが、辨野先生は世界NO.1のうんちコレクターでもあります。
もちろん、その目的は腸内環境の研究ですが、これまで世界各国で8000人以上のうんちを提供してもらったといいますから、相当なものです(驚)
太るか痩せるかは腸で決まる?!
ヤセ菌とは、その名の通り、痩せ体質の人が共通して持っている腸内菌のこと。
反対にデブ菌は、太りやすい人の腸に多く存在する菌です。
痩せるためには、食べる量(摂取カロリー)を減らし、運動(消費カロリー)を増やすというのが、従来から知られた原理です。
しかし、ヤセ菌を持っている人は、同じ食事量を摂っていても太りにくいことが科学的に明らかになったわけです。
一般的に、便秘は太る原因の一つだと言われていますが、これは真実で、大腸内に停滞したうんちからもカロリー吸収がされていて、その分余分なカロリー摂取が行われてしまいます。
しかし、ヤセ菌が多いと、大腸に到達した食べ物のカス(うんちの基)から吸収されるカロリーの量が減ります。
さらに、ヤセ菌は体の代謝に直接影響して、体脂肪を燃焼させる効果があることも科学的に証明されています。
ヤセ菌、デブ菌って何?
ここまでくれば、誰もがデブ菌を減らしヤセ菌を増やしたいと考えますよね?!
早い話が、ヤセ菌とは善玉菌のことです・・・となれば、デブ菌は悪玉菌のことなのはバレバレですね(苦笑)
つまり、腸内フローラのバランスをヤセ菌(善玉菌)優位にしてあげれば、現在太っている人だって痩せやすい体質に変わることができるんです。
善玉菌の代表は、ビフィズス菌や乳酸菌です。
これらを増やすには、食生活の見直しとストレス回避がもっとも有効な手段であることは、本ブログで何度もお伝えした通り。
ヤセ菌を増やす手っ取り早い方法は、オリゴ糖と食物繊維を摂取することです。
オリゴ糖や食物繊維はビフィズス菌などのヤセ菌のエサになります。
オリゴ糖と食物繊維を多く含む美容食材といわれるのが、
- タマネギ
- ゴボウ
- アスパラガス
- 大豆などの豆類 ・バナナ
- 牛乳などの乳製品
- ハチミツ
などです。
また、海藻類やキノコ類には水溶性食物繊維が豊富に含まれており、腸内に停滞したうんちの排便を助けます。
よいうんちをすると悪玉菌も排出することになるので、さらにヤセ菌を増やす効果が高まります。
反対に、高脂肪食品や過剰な動物性タンパク質の摂取はヤセ菌が減る原因となります。
以上の通り、
肥満の解消は「食べる量」よりも「食べる質」
にあります。
言い換えると、ダイエットを成功させるためには、無理な食事制限よりも、腸内フローラを健全に保つことが重要だということです。
ダイエットに向かない物を食べると、少しの量でも脂肪になり、ダイエット向きの食物を食べれば、食べ過ぎても栄養分をやり過ごすことができるんです。
この夏は、いま一度食生活を見直して腸内フローラを改善し、食べても太らない体質に変身してみては?