よいうんちをすると幸せになれる?!
脳の中の伝達物質として最近注目されているのがセロトニンとドーパミンです。
これらは別名「幸せ物質」と呼ばれています。
神経伝達物質(しんけいでんたつぶっしつ、英: Neurotransmitter)とは、シナプスで情報伝達を介在する物質である。シナプス前細胞に神経伝達物質の合成系があり、シナプス後細胞に神経伝達物質の受容体がある。神経伝達物質は放出後に不活性化する。シナプス後細胞に影響する亜鉛イオンや一酸化窒素は広義の神経伝達物質である。ホルモンも細胞間伝達物質で開放放出し受容体に結合する。神経伝達物質は局所的に作用し、ホルモンは循環器系等を通じ大局的に作用する。アゴニストとアンタゴニストも同様の作用をする。
難しいことはさておき(苦笑)、神経伝達物質とは、一本一本独立した脳神経間において情報伝達する物質のことで、現在確認されているものだけでも百数十種類あり、たとえば、スポーツ選手がよく話題にするアドレナリンもその内の1つです。
さて、セロトニンは、不遇なとき・不運なときにやる気を起こしてくれ、もう一方のドーパミンは、幸せを記憶する物質です。
そして、これらの脳内ホルモンが著しく低下すると、人の不幸度が高まり、健康を害するといわれています。
さらに、気持ちが暗く、すべてのことに対して消極的になると、うつを発症したり、最悪の結果として自殺に到ることも少なくありません。
近年、日本人のうつ病患者や自殺者数の増加が問題視されていますが、このことは日本人の幸せ物質の減少と深い関係があるという説があります。
そして実は、その幸せ物質は腸で作られるのです。
セロトニンは食物の中に含まれるトリプトファンというたんぱく質から合成されます。
つまり、両者とも食物として体内に取り込まれたたんぱく質から生成されるのですが、食事でいくら大量にたんぱく質を摂取しても、腸内環境が整っていなければ、セロトニンやドーパミンが脳内に増えないことが、研究で明らかにされています。
つまり、腸内フローラという花畑が荒れて、花に水が注がれていないような状態では、人の「幸福感」「健康感」は遠のいてしまうということです。
腸内フローラを整えるということは、腸内細菌の数を増やしバランスを整えるということ。
ここで大切になってくるのが、オリゴ糖の摂取ともう一つ、食物繊維の摂取です。
腸内細菌の数はうんちの量と深く関係しています。
なぜなら、うんちの約半分は死んだ腸内細菌と生きている腸内細菌によって占められているからです。
逆に言うと、腸内細菌の数はうんちの量を調べれぱわかるのですが、戦後の日本人のうんちの量はそれ以前に比べてかなり減少しているそうです。
そして、うんちの量が減少したことは、食物繊維の摂取量が大きく減少したことと深く関係があるようです。
グラフからもわかるように、戦後間もないころ日本人の1日当たりの食物繊維の摂取量は約27gでしたが、現在は12gにまで減少しています。
兵庫県立大学の辻先生の研究によると、太古のアメリカ先住民のうんちの量は約800gもあり、繊維質は150gも含まれていたそうです。
それと比較すると、もともと日本人のうんちの量(繊維質の量とも)は少ないのですが、それでも戦争直後では約350~400gのうんちの量だったのが、現在では150~200g程度にまで減っているそうです。
参考までに、平均身長・体重の推移を見てきると、
こんな感じです。体は大きくなったけれどうんちの量はおよそ1/2になってしまったのですから、これは驚くほどの減少といえます。
うんちの量が減れば、おのずと腸内細菌の数も少なくなります。
そこに、食生活の乱れやストレスの増加も加われば、日本人の腸内環境はもはや危機的状況なのかもしれません。
うんちの量の減少と、それにともなう腸内細菌の減少は、食生活と深く関わっています。
日本人のうんちや腸内細菌が減少しているのは、食を取り巻く環境の変化によるもので、特に野菜の摂取量減少によるところが大きいです。
日本人の野菜の摂取量は1985年には1人あたり年間約111kgであったのが、2011年には約91kgまで減っています。
さらに、豆類などを含む食物繊維の摂取量は、なんと戦前の1/3以下だといいますから、これではうんちの量が激減するのもうなずけます。
ということは、食物繊維を摂取することは、腸内細菌の増加につながります。
さらに、腸内細菌に食物繊維を添加するとビタミンB群の合成が増強されることもわかっています。
ビタミンB群はセロトニン合成に必要な栄養素なので、そういう面でも食物繊維の摂取量の増加はイコール「幸せ物質」を増やすことにつながるのです。
幸せ物質が腸でつくられるということは、
食物繊維摂取量を増やす ⇒ 腸内細菌が増加=ドーパミンやセロトニンも増加
という式が成り立ちます。
人の意欲を駆り立てるドーパミンが減少すれば前向きな心は萎縮し、セロトニン不足は逆境に打ち勝つくじけない心を悲観的な気持ちに変えてしまいます。
つまり、日本から自殺者やうつを減少させるためには、腸内細菌を増やすことが必要だということです。
大切なことは人の腸内に棲んでいるさまざまな腸内細菌が、その種類と数を増やすこと。
そうすることで、健康的なうんちができることはもちろん、セロトニンやドーパミンという幸せ物質が増え、、自殺やうつなどと無縁の人生が可能になるのです。
これぞまさに、心も体もスッキリ!ってことですね。