うんちは何を語る?

第二の脳といわれる腸と人の体のかかわりについて、興味本位に書きつづります。

腸は第二の脳の意味

ひらめく脳

 

セカンドブレイン

最近よく聞く「腸は第二の脳」という言われ方、なんとなく意味がわかる、けれども実はイマイチわかってない、という人もいるのでは?(笑)

実は私も「よくわからない」内の1人だったので、自分なりに調べてみました。

実際、腸と脳には深い関係があるようです。

 

私の場合は、ストレスを感じたり緊張したりすると下痢する率が高いのですが、同様のシチュエーションで、便秘や下痢を起こした経験をもつ人は少なくないでしょう。

コレって、あたかも腸が直接ストレスを感じ取っているようですが、実際には脳が腸に何かを語りかけた結果であり、この人体反応は、脳と腸の深い関係を示唆しているといいます。

 

一方、これとは真逆の話として、脳から腸に来ている神経を切断しても、腸は独自に蠕動運動をし、消化液も分泌することが発見されてもいます。こちらの現象は、腸が「自ら考えて行動している」ことを示すものといえるでしょう。

つまり、脳と腸はあるときは連絡を取り合い、あるときは腸は脳の助けを借りることなく、自前で活動しているのです。

 

「腸は第二の脳である」という学説は、1980年代に米国の研究者マイケル・D・ガーシヨン博士が発表したもので、こうした腸の働きを表したものです。

ガーション博士は、腸に「セカンドブレイン」(第二の脳)という名前を与えました。

この腸のセカンドネームが、現在の腸ブーム(?)などに代表される腸の重要性を、多くの人に認識させる引き金になっているんですね。

 

また、ガーション博士は、著書の中で「確かに、腸神経系が、三段論法を考え出したり、詩を書いたり、ソクラテス的問答をすることはないが、脳のような働きをすることは確かである」「腸神経系は巨大な化学物質の貯蔵庫であり、そのなかには脳で発見きれるほとんどすべての神経伝達物質のほとんどすべての種類が揃っている」と述べています。

このことは、「腸は脳の助けを借りることなく自前で判断できるよう、あらゆる道具を取り揃えている」という、腸のもつ脳神経的働きの本質を言い表しています。

博士の主張はつまり、腸には心や意識、記憶のような高次機能はないけれど、それ以外の働きは十分ある、ということだと解釈できます。

 

 

快腸と不腸

蠕動運動は腸が独自に判断する

腸の蠕動運動は、胃から直腸までの道のりを、スムーズにうんちが移動するために欠かせないものです。

また、うんちがしたくなったり、食べ物の分解や消化に欠かせない酵素やホルモンの分泌を促す働きも担っています。

この蠕動運動には、小腸と大腸を合わせて約1億個あるとされる神経細胞が深く関わっていますが、実はこの神経細胞の数は、脳(約150億個以上)に次いで多いのです。

脳が強いストレスを感じると、自律神経系を介してそれが瞬時に大腸に伝わり、便秘や下痢を引き起こします。逆に下痢や便秘などの大腸の不調は、自律神経系を介して脳のストレスにもなります。

つまり、ストレスの悪循環が起こりやすくなるのです。

このことから、脳と腸の関係は決して一方通行ではなく、腸から脳のルートもあり、双方向性であることが分かると思います。

 

腸は、脳をコントロールできる?

腸が脳の支配から独立して動く側面をもっていることは理解できましたが、それでは反対に、腸が脳に信号を与え、脳の働きをコントロールすることはできるのでしょうか?

脳には情報を入れる性質「求心性」と、さまざまな筋肉の動きをコントロールするような情報が発する、末梢に向かう「遠心性」という情報伝達の性質があります。

簡単にいえば、脳に「入る情報」と「出る情報」の双方向性カあるということです。

腸が、他の臓器と際立って異なるところは、脊髄に匹敵する独自の神経ネットワークをもっているところです。

この神経ネットワークを求心性の方向に利用して、脳の運命を制するような力が腸に備わっているのだろうか、といえば答えはYesです。

たとえば、腸に何らかの異変が起こった場合、腸から発せられた異変シグナルが脳に伝わって、脳の働きを低下させたり、あるいは逆に脳から応援の情報を得ています。

 

人の早朝から就寝までの、一日におけるおなかの状態を思い浮かべてみると、体調がよければ、朝起きてすぐに自分が空腹であることに気づくでしょう。

そして、食後は満足感を味わい、しばらくは空腹を感じませんが、その後、昼食前、夕食前と結局1日3回空腹を感じることになります。

こんなことは毎日のことで、つい当たり前のように思ってしまいますが、なぜこのようなことが確実に日々、起こるのでしょうか。

これは、腸自ら「腹加減」を脳に知らせているのであって、決して脳のなかに時計があって、食事の時間を知らせてくれているわけではありません。

 

たとえば、胃が空になると、胃腺でつくられるグレリンという物質が脳に情報を伝えて、「空腹である」という意識を思い起こさせたり、逆に、食後に血中に放出される、コレシストキニンなどのホルモンによって、食物が腸内にあることが脳に伝えられ、食べすぎを抑える作用を果たしているんです。

さらに、食べた物が腸から吸収されると、血中のグルコース濃度が増加して、それに対応してエネルギー消費を増加させるような情報が脳に伝わるなど、胃や腸発で、脳をコントロールする信号を送ることができるのです。

こういったことから、腸は脳から独立した「別人格」であり、まさに「第二の脳」と呼ばれる所以なんです。