うんちをチェックする?!
うんちの重さ
前回、うんちチェックについてお伝えしましたが、毎日、うんちチェックをしても、重さまで量れませんよね。
ただ、うんちの重さにも、いろいろな情報が含まれているんです。
日本食は、各種の栄養素をバランスよくとれる食事で、主食のご飯からは炭水化物、主菜の肉、魚、豆腐などからはタンパク質や脂質、副菜の煮物やサラダなどからはビタミン、ミネラル、食物繊維などを摂ることができます。
中でも食物繊維の豊富さが顕著で、野菜などの植物性、海藻などの藻類性、キノコなどの菌類性など、それぞれの食物の中にたくさん含まれています。
ちなみに、食物繊維とは、人の消化酵素では消化できない、食品中の難消化性成分をまとめた呼び名です。
食物繊維は、お腹の中で水分をたっぷりと含んでうんちの体積を増し、大腸の働きを促してうんちを出しやすくします。
それが、便秘解消には食物繊維が有効だといわれる所以です。
ところで、物が水に浮くか沈むかは、その密度が、水の密度1g毎立方センチメートルより大きいか小さいかで決まります。
要するに、水の密度1g毎立方センチメートルより大きい密度のものは、水に沈み、逆に小さいものは、水に浮くということです。
ここで、うんちの密度に注目してみると、日本食を中心としたバランスのよい食生活をおくっているときのうんち、つまり健康なうんちの密度は、およそ1.06g毎立方センチメートルくらいだそうです。
水が1なので、それよりもほんの少しだけ密度が大きいということになります。
密度が大きいと水に沈む、といっても、この程度の密度差だと、よほど落下の勢いが強くない限り、水に沈むというより水中に漂うという感じになります。
さらに、食物繊維がもっと多くて空気やガスを含んでいるうんちは、密度が小さくなるので完全に水に浮きます。一方、肉などのタンパク質をたくさん食べるとうんちの密度は大きくなるので、水に沈みやすくなります。
そのほか、油脂が多いうんちも水に浮きます。
うんちの中に過剰な脂肪が存在しているものを脂肪便といいます。脂肪便は、過剰な脂肪のせいで密度が小ざいので水に浮き、見た目は脂っぽく、ギトギトした感じです。
ふつうに脂肪を摂っていても、膵液中の消化酵素リバーゼの分泌が弱かったり、胆汁の分泌がなかったりすると脂肪の消化・吸収が悪くなり、うんちに脂肪が混じるようになります。
ふつうの食事で脂肪便が出るということは、脂肪が適切に吸収されていないということです。
一見、脂肪吸収が抑えられて太らない、と勘違いしそうですが、この場合、脂肪に溶けて吸収される脂溶性のビタミン類の吸収も弱くなり、ビタミン不足状態になるため問題です。
血便には要注意
血便とはうんちに血が混じった、またはうんちの表面に血が付いた状態のことをいいます。
血便の原因となる主な病気には、
などが考えられますが、同じ血便でも出血した部位によっては血の色が変化する場合があります。
真っ赤な血のうんちのときは、切れ痔やいぽ痔など直腸または肛門に近い部位に異常があることが考えられます。特にうんちの表面だけに血が付いているなら、痔の可能性が高いです。
黒ずんだ血便が出るときは、肛門から遠い大腸・小腸・胃・十二指腸の異常が考えられます。
例えば十二指腸潰瘍など消化管中程から少量の出血があった場合、便は黒くなって、まるでタールのように見えるのでタール便といいます。
例えば大腸がんの場合は、ふつうに排便習慣のある人が便秘になったり、粘液や膿みや壊死した組織のかけらなどが混じった汚い血の塊がウンチに混じるようになります。
また、排便とは関係なく、これらのものが出てくることもあります。
また、肉眼ではわからないレべルで血が混じっている場合もあり、便潜血と呼ぱれています。
一般的な健康診断で検査するのは、この便潜血です。
検査で便潜血の反応が出ると、精密検査の指示が出ます。
精密検査は、内視鏡検査を行ない(エックス線検査の場合もあるようですが・・・)、潰瘍やポリープ、がんなど出血の原因・部位を調べます。
実際に、以前、私も一度便潜血反応が陽性となり、大腸の内視鏡検査を受けたことがあります。そのときには幸い、異常は認められませんでした。
やはり目視による検査結果は安心に直結しますね。
もし、うんちチェックで血便を認めたときには、必ず医師の診断を受けましょう。
現実に、痔を患ったことがある人が、直腸がんによって出血をしているのにもかかわらず、痔と同じ症状だと自己判断したために、発見が遅れて手遅れになってしまったという例もあるそうです。
やはり、素人判断はすべきではありません。