うんちは何を語る?

第二の脳といわれる腸と人の体のかかわりについて、興味本位に書きつづります。

腸内細菌とおならの正しい関係

ガスマスクをつける男性

今日は、うんちと縁が深い(?)おならについて考えてみます。

うんちもおならも、腸内の環境によって、大きな変化を見せる生理現象という意味では共通していますし、何よりカラダの同じ出口から出てくるという点は、そっくりそのままです(笑)

  

おならの正体

まず、おならは何か?というと、ご存知の通りおならはガスです。

では、そのガスはどのようにして発生するのか?というと、食事のときに飲み込まれた空気や、大腸内に住みついている腸内細菌の働きによって食物が発酵してできたガス、そして腸の粘膜を通して血液から出てきたガスなどが混じって出来るのです。

この腸内で発生するガスと、おならやげっぷとして排出されるガスの量はバランスがとれており、正常なバランスなら、通常、お腹には200ml程度のガスが溜まっているそうです。容積でいうとちょうどコップ1杯分程度です。

腸内で発生するガスはすべておならになるかというと、実はそうではなくて、そのほとんどは血液中に吸収されて、肺を通って呼吸のときに排出されるんです。

おならやげっぷとして排出されるのは、お腹に入ったガスのわすか10%に満たない量だというから、ちょっと意外ですよね。

人が放屁する量は、食べ物や体調によっても異なるのですが、通常1回で数ml~150mlほど、1日では約400ml~2Lほどだといわれています。

私の場合、もちろん量ったことはないのですが、食べ物や運動不足のせいなのか、やたらと放屁してしまう日というのがあります(汗)。

そんなときは、ビフィズス菌が配合されたサプリを飲むことで、状態が落ち着くのですが、そういったことを踏まえると、素人ながらに腸内細菌とおならには深い関係があることが推察できます。

 

おならのにおい

鼻をつまむ女性

おならの主成分である窒素、水素、二酸化炭素などは無臭です。

では、なぜおならが臭う、のかというと、腸内には窒素、二酸化炭素、水素、メタン、酸素など臭いがないガスのほか、アンモニア硫化水素など臭うガスもあるからです。

腸内のアンモニア硫化水素は外部から入り込むわけではなく、大腸内の悪玉菌であるウェルシュ菌などのタンパク質分解菌が生成させます。

糖質や脂質は、炭素・水素・酸素からできていますが、タンパク質にはそれに加えて窒素が含まれています。さらに、種類によっては硫黄を含んでいます。

アンモニアは窒素と水素が結びついた分子で、とても水に溶けやすい、悪臭がする有毒なガスです。

人の細胞内でもタンパク質の代謝でアンモニアができるので、肝臓で毒性の低い尿素にされています。だから昔から、オシッコにはアンモニアが含まれている、といわれているのは、まんざらウソではありません。

硫化水素は、硫黄と水素が結びついた分子で、特異な悪臭がする有毒なガスです。下水道のヘドロなどからも発生するため、マンホール内の作業では入坑前に測定が義務付けられるほど、命に関わる危険なガスなんです・・・もちろん、屁を吸い込んだからと言いって命を落とすことはありませんが(苦笑)。

腸内で発生するアンモニア硫化水素のせいでおならは臭うのですが、実はさらに臭い物質があります。それは、微量でも臭いスカトーレインドールです。

インドールスカトールも窒素が含まれた物質で、トリプトファンというアミノ酸の代謝でできます。

ということは、アミノ酸タンパク質を摂取し過ぎるとおならが臭くなりやすいということです。

実際、タンパク質を多く含んでいる肉や魚などをたくさん食べた後は、腸内に臭い物質が大量に発生し、くさいおならが出ます。

食事以外、ストレスによっても、おならは臭くなります。

これは疲労やストレスで、胃・腸といった消化器官も正常に働かなくなるために、腸内細菌のバランスが崩れ、善玉菌が減って悪玉菌が増えるからです。

ストレスは、便秘や下痢の原因にもなります。

過敏性腸症候群という病気はその最たるものですが、そこまでひどくなくても何かイヤな事や緊張する事の前に、便秘や下痢を経験したことがある人は多いのでは?

便秘になると、食べた物が長時間腸内に滞留するため、腐敗が起こりやすくなり、腸内の臭い物質が多くなります。

そういった意味では、おならの臭いは、腸内細菌のバランスをみるバロメータになりますね。

 

さつまいもとおならの関係

ホカホカの焼き芋

昭和のギャグ漫画では定番の、さつまいもを食べてプップップとおならするシーンでも分かるように、昔から、さつまいもを食べるとおならが出るといわれていますね。

実際、これはウソではありません。

さつまいもやごぼうなど食物繊維を多く含んだ食品を食べると、人間の消化酵素では分解し切れないデンプンの断片が腸内細菌の栄養源となって、腸内発酵が活発になります。

ただし、さつまいもが発酵してできるガスは主に無臭の二酸化炭素ですから、そのときのおならは臭くありません。

また、食物繊維が腸内でうんちを押し出すので便通がよくなりますし、その上、善玉菌であるビフィズス菌が増えて、悪玉菌のウェルシュ菌が減るので、食べるだけで腸内環境の改善が期待できます。

さつまいも以外にも、たとえば納豆は腸内細菌のバランスを整えるのに効果的だとされています。

これは、納豆に含まれる納豆菌が悪玉菌を減らし、ビフィズス菌や乳酸菌を増やすためです。

なので、おならが臭いときには、さつまいもや納豆を食べると改善できる、と覚えておきましょう。