災害時のうんちの話
昨今、各地で地震や台風などの自然災害が相次いでいます。
で、早速ですが今回は、被災したときに生活する上で困ること、に関する話です。
防災上よく言われるのは、「災害に備えて、食料や飲料水、衣類などを1週間分くらいは備蓄しておきましょう。」ということ。
コレ、大概の人は聞いたことありますよね?
他にも、「ラジオや乾電池、懐中電灯や携帯電話(スマホ)の手動充電器なども必須ですよ」なんてこともよく耳にします。
もしかしたら、リュックサックに詰めて、万一の時には持ち出せるようにしているという人もいるかもしれませんね。
準備しておくものを一つ一つ挙げていてはキリがありませんが、実は、被災時に最も重要かつ深刻なのはトイレの問題です。
冷静に考えれば当たり前のことですが、人が飲食すれば必ず排泄が伴います。
ということは、水や食べ物を備蓄すると同時に、排泄についても考えておかなければならない、ということです。
ちょっと古い例ですが、今日の防災の基準ともいえる1995年に発生した阪神・淡路大震災のときの被災地のトイレ事情はかなりひどいものでした。
震災の中心地、神戸市では、避難者が23万人にも及びました。
震災によってほぼ全域が断水、市内約80%の地域は、水道が復旧するまでに1ヶ月以上もかかったんです。
その間、被災された人々は、家庭のトイレが使える場合は、便器に新聞紙などを敷いてうんちして、ゴミ袋で保管したそうです。
その後、水の供給に余裕が出てくると、オシッコはそのまま、うんちはバケツに水をためて流しました。
それから、避難所のトイレ事情は、さらに深刻でした。
被災当初は、仮設トイレの台数が不足していましたし、当然、掃除のための水も不足していましたから、各避難施設のトイレでは汚物が積み重なり、衛生状態がとても悪くなりました。
さらに、仮設トイレの台数が増えた後も、情報の集約化が不十分だったせいで、その設置場所が充分に把握されていなかったため、バキュームカーでの汲み取りにも支障があり、衛生状態がなかなか向上しませんでした。
さらに、仮設トイレは下部にタンクが付帯した洋式便器なので、構造上、高さが高く、手すりもついていないため、子供や高齢者には使いづらいということも判明したんです。
ここで、災害時のトイレの確保方法をまとめてみます。
- 地面に穴を掘り、周りをシートや布で覆ってそこに用を足し、殺菌消毒のために排泄後に消石灰を振りかける。これなら、スコップと石灰さえあれば自力でも何とかなるので急場しのぎには有効です。
- 状況が許すなら、道路上の下水(おすい)のマンホールを開けて、板や手すりをっけてトイレにする。これなら、穴を掘る必要がなく早急に対応できるでしょう。ただし、蓋の開け方や落下事故の防止等のノウハウも必要だと思います。
- トイレ洗浄に水が必要なら、学校のプールの水をバケツにくんで使う。
上記は、どちらかというと避難所などでの緊急措置かもしれませんが、穴を掘ってトイレにする方法などは庭がある家なら可能でしょう。
その他、家庭でもできる対策としては、非常用の組立式のトイレをストックしておくのもよいと思います。
普段は折り畳んでしまっておいて非常時に組み立てて使うタイプなら、コンパクトなので、個人で備蓄しておくことが可能です。
うんちを保管する消臭剤付きの袋が付帯しているので後処理も比較的楽ですし、登山用のコンパクトなものなら、場所も取らないので使いやすいでしょう。
ちなみに、オシッコ用には、紙オムツにつかわれている高分子吸水剤シートを使って固めるものもあります。
また、裏ワザ的な方法として、猫砂(猫用トイレに敷くもの)の利用があります。
この砂は、うんちに触れた砂だけが水分を吸って固まるので、うんち処理が楽にできます。
災害はいつやって来るかわかりません。
普段から避難経路や避難場所に注意を払うとともに、家庭用の備蓄物にぜひトイレ対策用品も加えることを忘れずに!