うんちは何を語る?

第二の脳といわれる腸と人の体のかかわりについて、興味本位に書きつづります。

うんちはオーガニック???

有機有機野菜

 

最近の健康ブームを反映してか、はたまた環境汚染を懸念してか、スーパーの野菜売り場などに行くと、オーガニックとか有機栽培といったキーワードをよく見かけます。

同じ食材でも、そういった注釈がついたものの方が往々にして、ちょっとお高かったりしていますが、何となくそちらを選びがちという人も少なくないようです。

 オーガニックと有機は同じ意味で、農薬や化学肥料に頼らず、太陽・水・土、それからそこに棲む生物などの自然の恵みを生かした農林水産業や加工方法をさします。

具体的には、化学肥料一辺倒の生産をやめて、有機肥料つまり堆肥を使っていこうという考えです。

堆肥(たいひ)とは、有機物を微生物によって完全に分解した肥料のこと。有機資材(有機肥料)と同義で用いられる場合もあるが、有機資材が易分解性有機が未分解の有機物残渣も含むのに対し、堆肥は易分解性有機物を完全に分解したものを指す。コンポストcompost) とも呼ばれる。

Wikipediaより

 

ところで、オーガニックと表示された野菜には、より強く健康イメージを抱く人も多いのでは?

しかし原則的には、化学肥料であっても有機肥料であっても、植物は必要な成分を無機物として取り込んでいるため、実際にはどちらの肥料で育てた野菜も、味や鮮度(日持ち)などにほとんど変化がないことが確かめられています。

※もちろん、季節や産地による味の違いはあります。

 

では、有機肥料の使用は化学肥料の使用と比較して意味はないのかというと、そんなことは全然なくて、実は地球環境や資源保護の観点からますます重要になってくると世界的に考えられています。

 

一般的な化学栽培において、野菜の生育に必要な主な化学成分は、窒素・リン酸・カリウムです。

その内、窒素は空気の約8割を占める成分なので、いわば無限にあるとみなすことができると思いきや、実は植物は、空気中の窒素を直接利用することはできません

 野菜(植物)の生育では、土の中の微生物が空気中の窒素を取り込み、植物が吸収できる無機塩に変換してくれたものをつかっています。

ただ、現代農業において微生物がつくりだす無機塩は、必要量の半分以下に過ぎないため、不足分は化学工場で生成されたものが使われているんです。

 

次に、リンは主に鉱山から得られます。

地球上のリン鉱山は、海水中のリン成分が沈殿してできた、あるいは数百万年といった長期間に鳥の糞が積み重なってできたものと考えられています。

自然界から得られたリン鉱石を、化学工場で植物が利用できるリン酸に変換します

ただし、リン鉱石はそう遠くない将来、採掘することはできなくなると予想されています。

 

また、カリウムは海水や岩塩から大量に採集されており、こちらに関しては、その資源量は将来的にも心配ないものと考えられています。

さらに、食物連鎖によって排泄されたカリウム分は、水に溶けて最終的には海に還るため、循環していると考えてよいでしょう。

 

以上の通り、化学的に生成される肥料の資源量には限りがあるものもあり、加えて、資源を肥料に変換するエネルギーについても化学燃料が利用されているため、長いスパンで考えると現在と同様に供給し続けることができるかということには不透明であるといわざるを得ません。

畑の土を触る手

 

そこで、人や家畜の排泄物、つまりうんち(おしっこ)を肥料にすることに注目が集まっているんです。

 

ご存知の通り、堆肥は食品の廃棄物(ワラや生ゴ二)や人間・家畜のうんちなどから作られます。

人(生物)はみな、毎日の食事によって活動するためのエネルギーを補給しています。

そして、このエネルギーの源は主に炭水化物であり、これは植物(作物)が光合成によって作りだしたものです。

食物中には、窒素やリン、カリウムが含まれており、人体に栄養として吸収・代謝されて、最終的には食べた分と同量が排泄されます

かつては、排泄物を肥料に用いる文化がありましたが、現代ではこの排泄物を使い捨てにしています。

これらを、改めて循環させて使うことが将来に向けて大切なことであり、それがこれからのオーガニックの大義だと思います。

また、うんちやおしっこを有効利用することで、河川や湖・沼などが富栄養化して生態系を乱すことを防ぎ、自然破壊を減らすことにもつながるのです。

 

そういった意味では、うんちやおしっこには無限の価値があるといえるでしょう・・・って、ちょっと大袈裟かな(笑)