うんちは何を語る?

第二の脳といわれる腸と人の体のかかわりについて、興味本位に書きつづります。

ハンドクリームとおしっこの関係

 

尿素尿素配合ハンドクリーム

うんちブログにもかかわらず、このところ「おしっこ」について書き綴っていることに調子付いて、今回もおしっこ絡みの話題です。

まぁ、自分的には、うんちとおしっこは、「近からずとも遠からず」の関係だと思っているので、ご容赦願います(苦笑)。

 わたしの場合、乾燥する季節、つまり今頃から冬場にかけて、手肌のカサカサが気になるのでハンドクリームを愛用しています。

中には、1年中クリームを持ち歩いているという人もいらっしゃるでしょう。

 

ハンドクリームといえば、よくパッケージに尿素配合」という文言を目にしませんか?

この「尿素」、文字どおり読めば「尿の素」、つまり「おしっこの素」です。

この尿素という物質はどうして尿素と呼ばれ、なぜハンドクリームに入っているのか、また、どんな効果があるのか、について調べてみました。

 

まず、この物質が尿素とよばれる理由についてですが、これは単純な話で、尿に含まれる物質だからです。

もっと言うと、尿素は尿の中に一番多く含まれる物質なので、

尿の素→尿素

と呼ばれるようになりました。

 

人が食事からタンパク質を摂取すると、体内で消化分解されてアミノ酸ができます。

アミノ酸はさらに分解されて、腸管や腎臓でアンモニアに変化します。

アンモニアは、そのままだと人体に有害なんですが、肝臓に運ばれて処理されることで無害化され、尿素に変化します。

その後、尿素は腎臓でろ過されて、おしっこの中に出ていきます。

 

ちなみに、健康診断を受けると、血液中の尿素量(尿素窒素)の検査があります。

体内での代謝がうまく動作していないと、血液中の尿素の量が増えたり減ったりするので、血液中の尿素の量を検査することで、腎臓や肝臓の健康状態を知ることができるんですね。

 

さて、ハンドクリームの成分としての尿素の件です。

なぜ配合され、どんな効果があるのかというと、人の皮膚には「角質(かくしつ)」とよばれる硬くこわばっている部分があります←特にひじやかかとに目立ちますね(汗)

 

尿素には、この角質をやわらかく滑らかにする効果があるんです。

さらに、皮膚を乾燥から防ぐ保湿効果もあります。

それ以外にも、殺菌効果や細胞賦活効果(細胞を元気にする効果)などが報告されているんです。

このように、「おしっこの素」という呼び名のわりに、人の肌にとって、尿素はかなり重要な働きを持っているわけです。

 

ハンドクリームを塗っている手

もちろん、いくら効果が高いからといって、もし大量の尿素を配合したりすると、皮膚に与える刺激が強すぎるなどの弊害があるそうなので、その辺りは各メーカーが適量を見出して製品化してくれているのだと思います。

 

言うまでもありませんが、ハンドクリームなどに配合きれる尿素は、人間の尿から取り出したものではなく、人工的に合成された尿素です。

尿素をはじめ、本来、生物の体内で合成される有機化合物を人工的に合成することは、現在では普通に行われています。

 

実は、この有機化合物の合成の発祥は、19世紀初頭にドイツの化学者ヴェーラーが発見した「尿素の合成」なんです。

 

フリードリヒ・ヴェーラー(Friedrich Wöhler, 1800年7月31日-1882年9月23日)はドイツの化学者。

シアン酸アンモニウムを加熱中に尿素が結晶化しているのを1828年に発見し、無機化合物から初めて有機化合物の尿素を合成(ヴェーラー合成)したことにより「有機化合物の父」と呼ばれる。また、ユストゥス・フォン・リービッヒと独立に行なわれた異性体の発見、ベリリウムの発見などの業績がある。 Wikipediaより

 

それまで、有機化合物は人工的に合成できないと考えられていましたが、ヴェーラーは尿に含まれる成分の研究をしていて尿素に着目し、合成に成功しました。

 

極論すれば、おしっこ(尿)の研究に始まったこの成果が、現在の化学物質文明の基礎になっているわけですから、おしっこ様様といったところでしょうか(笑)。