うんちは何を語る?

第二の脳といわれる腸と人の体のかかわりについて、興味本位に書きつづります。

おしっこの色の話

 


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小便小便小僧

前回に引き続き、今日もおしっこの話題です。

毎朝おしっこをするとき、特に男性の場合、「今日のおしっこは、いつもより色が濃いぞ」とか「黄色いなぁ、何でかな」などと感じることってありますよね。

 そもそも、おしっこの色やにおいが健康状態のバロメーターになるとして尿検査の意義を説いたのは、医学の父とも呼ばれるかのヒポクラテスだといわれています。

それから約2400年経った現在においても、尿検査は臨床検査の予備的な手段として広く行われていることは周知の事実です。

 

ところで、最初の話にもどりますが、おしっこの色とにおいの正体は何でしょうか。

一般的に、健常なおしっこの色は、淡黄色から淡黄褐色とされています。

そして、おしっこを黄色にする物質の1つがウロクロムです。

ウロクロムという言葉はギリシャ語で、「おしっこの色素」という意味だそうです。

文字通り「そのものズバリ!」の、おしっこの黄色を代表する物質です。

ウロクロムは、普通尿中に1日 0.4~0.7g排出されますが、その成り立ちは体内のタンパク質の代謝でつくられることが推定されているだけで、臨床的意義はほとんどないといわれています。

それから、おしっこを黄色に着色しているもう1つの物質がウロビリンです。

ウロビリンは、ウロビリノーゲンの酸化によって生ずる褐色の物質。

ウロビリノーゲンが排泄されて空気に触れると、容易に酸化されてウロビリンになります。

それでは、ウロビリノーゲンとは何か、というと、肝臓で作られるビリルビンという色素が、腸内細菌によって分解されてできる物質です。
尿中のウロビリノーゲン値は肝機能の状態を知る指標となるため、尿検査の項目とされていますので聞き覚えがある人もいるかもしれませんね。

 

役目を終えたビリルビンが腸内に捨てられ、腸内細菌の作用や酸化などによってウロビリンに変化したあと、その一部が再び体に吸収されて尿中に出ることでおしっこが黄色くなるわけです。

 

専門的な能書きはコレくらいにして、おしっこの色についてもう少し・・・。

おしっこの色の濃さは、上記2つの物質が水でどのくらい薄まるかによって決まります。

なので、運動などで体内の水分量が失われて尿量が少なくなると、色素が濃縮され、濃い黄色のおしっこが出ます。

なので、黄色の濃淡だけでは心配には及びません。

ただし、おしっこの色が黄色以外の色に変化したら要注意かも。

たとえば、肝臓疾患などでビリルビンがうまく処理できないと、蓄積したビリルビンが直接おしっこに排泄され、ひどい場合には暗赤褐色のおしっこになることも!

他にも、尿細管や膀胱内で出血した場合も、ヘモグロビンが混入して赤くなりますので、赤い(赤っぽい)おしっこは要注意です

 

最後に、においに関してですが、新鮮(?)なおしっこは、アミノ酸代謝成分の一部が含まれるため、わずかな芳香臭を生じるだけで「臭い」においはありません

しかし、飛散したおしっこの雫をそのまま放置すると、空気中や便器に付着した細菌によって、尿中の尿素からアンモニアがつくられ、いわゆるトイレ臭を生じます。

逆に、排泄したてのおしっこが最初からトイレ臭を発している場合は、膀胱内に細菌が異常に繁殖している疑いがあるので、これも要注意です。

 

もちろん、病気でなくても、ネギやニンニク、コーヒーなどに含まれる体内で分解されにくい臭成分は、そのままおしっこに排泄され、においに反映されますから、適宜判断が必要ですが・・・(苦笑)。

 

現代医学では、おしっこの色やにおいの検査は、臨床診断の脇役にしか過ぎませんが、ヒポクラテスの指摘した通り、体内代謝のメッセージであることは永久不変なんですね。

 

 

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