うんちは何を語る?

第二の脳といわれる腸と人の体のかかわりについて、興味本位に書きつづります。

腸内環境も老化する?!

枯葉

腸内細菌についてのある研究によると、腸内細菌の割合は年齢によって変化するそうです。

つまり、若いときにいくら良好な腸内環境を保っていたとしても、何もしなければ加齢するにつれ、その環境は悪化の道をたどるということです。

 腸内細菌の割合とは、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の比率です。

善玉菌であるビフィズス菌は赤ちゃんの時が最も多く、離乳を経て減少するものの成年期以降もなお優勢を維持したまま横ばいが続き、多くの人は中年から老年にかけて徐々に減少していく傾向にあるということ。

かたや、大腸菌などの悪玉菌は、出生直後に最も多く繁殖するもののすぐに激減し、離乳以降はそのまま横ばいが続き、成年期までは健康を害さない限り、その数は善玉菌(ビフィズス菌)を上回ることはありません。

悪玉菌(大腸菌ウェルシュ菌)の割合が増えるのは中年以降で、老年に入るとビフィズス菌の総数を逆転するケースが出てきます。

 

年代別の腸内細菌数を表したグラフ

 

要するに、いくら健康体でも、中年以降には腸内環境を整えなければならない必然性があるということです。

若い頃なら少々不摂生しても、腸内の善玉菌が活発なのでそこそこリカバリーしてくれますが、中年、高年と歳を重ねるにつれ善玉菌が減少してしまうため、そうはいかなくなっていくわけです。

また、個人差はあるにせよ、ストレス過多の生活を続けている場合には、若くても腸内環境の悪化によって体調管理が難しいこともあるかもしれません。

 

腸内細菌はいつから棲みつく

腸内細菌はいつから人のお腹に棲みつくようになるのか、という点に注目してみると、通常、赤ちゃんが母親のお腹の中で過ごしている期間には、外部から菌の侵入がないので母親の子宮内は基本的に無菌状態です。

なので当然、赤ちゃんの腸内も無菌です。

その証拠に赤ちゃんが生まれて初めてするうんち(胎便)には菌が含まれません。

ところが、出生して3~4時間後には早くも腸内に大腸菌や腸球菌などが現れ始めるそうです。そして授乳が始まると腸内細菌が一気に増加し、24時間後にはうんち1gあたり1000億個以上にも達するといいますから、その増殖ぶりには驚くばかりです。

 

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興味深いデータとして、ある調査で東京都内3ヶ所別々の産院で、生まれたばかりの乳児のビフィズス菌の菌種や菌型を調べたところ、同じ産院内の乳児には同じ菌種・菌型のビフィズス菌が宿り、それが3院ごとに異なっていたそうです。

つまり、産院ごとにそれぞれ固有のビフィズス菌が棲息していて、それが産科医や看護師の手や器具などを通じて乳児に伝播していったと考えられるのです。

人は出生直後から、外部の世界と接触する過程で、無数の菌と接触し棲息が始まるわけです。

 

赤ちゃんと大人の腸内フローラの違い

実は、出生直後の段階で増殖するのは大腸菌や腸球菌などの好気性(=酸素が必要な)細菌です。

これは、出生直後の腸内には酸素が多いためで、こうした菌の増殖とともに酸素が消費されていくと、徐々に嫌気性であるビフィズス菌が現れ始めます。

 ビフィズス菌(善玉菌)は、生後3日を過ぎたあたりから徐々に増え始め、4~7日目には1gあたり1000億個に達し、母乳栄養児では実に腸内細菌の95%以上を占めるようになります。

それと同時に、大腸菌や腸球菌(悪玉菌)の数は減少して、ビフィズス菌1/100程度に抑えられていきます。

 

赤ちゃんの腸内でビフィズス菌が優勢になるもう一つの理由は、母乳にビフィズス菌の増殖をうながす物質(ビフィズス因子)が含まれているからだと考えられています。

この点については、実際、粉ミルク(人工乳)で育った乳児は、母乳で育った乳児に比べると、腸内のビフィズス菌数がはるかに少なく、大腸菌や腸球菌の数が10倍以上検出されることが少なくないというデータがあるそうです。

母乳育児の是非については、さまざまな事情を考慮する必要があるので一概に論じることはできませんが、母乳で育った乳児の腸内には、悪玉菌があまり繁殖しない傾向にあることは間違いない...つまり、生物学的に見た場合には母乳から栄養補給することが望ましいということです。

 

大人の腸内細菌

こうしたビフィズス菌が圧倒的に優位な状況は離乳とともも終わり、徐々に日和見菌が優勢になっていきます。

健康ならば、腸内の黄金比率といわれる善玉30、悪玉10、日和見60に近づくわけです。

乳児期に95%以上を誇っていたビフィズス菌の占有率は20~30%程度となり、さらにビフィズス菌の種類も別のものに変わっていきます。

もちろん、大腸菌や腸球菌は1gあたり10万~1億(だいぶ幅がありますが...)に、そして、ウェルシュ菌ブドウ球菌に至っては1億以下に抑えられているため、ビフィズス菌(善玉菌)が優勢菌であることに変わりありません

要するに、健常な人の場合には、善玉菌と日和見菌のバランスによって腸内フローラが構成されるわけです。

腸内細菌は、そもそもが宿主である人と共生することが前提なので、本来は生存に不利になる悪玉菌はつねに少数派なんです。

そう考えると、最近メディアで叫ばれている「腸内フローラの乱れから体調を崩す」というよりも、健康状態が崩れることで悪玉菌が繁殖し腸内環境が悪化すると考える方が自然でしょう。

 

www.healthypoop.com

 

 

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